ル・コルビュジエは、主にフランスで活躍した建築家で、フランク・ロイド・ライト、ミース・ファン・デル・ローエと共に近代建築三大巨匠のひとりと呼ばれています。「住宅は住むための機械である(Machine a habiter)」という思想のもと、鉄筋コンクリートを使った建築作品を数多く作り、今ではその多くが歴史的建造物として保護されています。
ロンシャンの礼拝堂やラ・トゥーレット修道院のほか、マルセイユやブリエ・アン・フォレBriey-en-Foret(メスMetz近郊)、レゼReze(ナントNantes近郊)、フィルミニFirminy(サン・テチエンヌSaint-Etienne近郊)には、ル・コルビュジエの建てた集合住宅(ユニテ・ダビタシオン)があり、今も住民たちが独自のコミュニティを作って生活しています。
ル・コルビュジエ財団 Fondation Le Corbusier 1887年、スイスで生まれたル・コルビュジエ(本名シャルル=エドゥアール・ジャンヌレ Charles-Edouard Jeanneret)は、1920年から1950年にかけて、パリ市街を超高層ビルで建て替える「ヴォアザン計画」や「輝く都市」など、それまでの既成概念に捕らわれない新しい都市計画論を次々と発表して注目を浴びました。
世界中で多くの建築を手がけただけでなく、デザインや絵画、彫刻も発表しており、パリ16区メゾン・ラ・ロッシュ Maison La Roche にあるル・コルビュジエ財団では、彼の手がけた建築作品の設計資料のほか、絵画、デザインなどに関する貴重な資料も保管、展示されています。現在、メゾン・ラ・ロッシュは改装中。2009年10月1日リニューアルオープンの予定です。
ル・コルビュジエは、有名な「サヴォア邸」(ポワシーPoissy)や「ジャウル邸」(ヌイィ・シュール・セーヌNeuilly-sur-Seine)などの個人宅のほか、パリでは、モリトール通りにあるナンジェセール集合住宅や、パリ大学のスイス学生会館やブラジル学生会館なども手がけています。
パリ スイス学生会館 Fondation Suisse この学生寮にはスイス財団「建築家ル・コルビュジエ」があり、毎日オープンしています。
ブラジル学生会館 Maison du Brésil 全面改装を終えたこの学生寮は、23のパリ大学国際学生寮のひとつに数えられ、エントランスには常設展示場があります。
ロンシャンの礼拝堂 Chapelle Notre-Dame-du-Haut La ロンシャンRomchampは、フランシュ・コンテ県Franche-ComteベルフォートBelfortから23Kmのところにある小さな町で、もともとここには聖母マリアのための礼拝堂がありました。複雑な経緯を経て、この礼拝堂を所有することになったロンシャンの住民たちは、1950年、ル・コルビュジエに礼拝堂の全面改築を依頼、現在のような美しい曲線を持つ礼拝堂が誕生しました。ブールレモンBourlemontの丘に建つこの礼拝堂は、年間8万人が訪れる後期ル・コルビュジエの代表作です。
現在ロンシャンでは、有名な建築家レンゾ・ピアノによる町の大規模整備工事が行われており、終了予定は2011年。クララ会修道院も改修され、駐車場などの観光客向け施設も計画されています。なお、工事期間中もロンシャンの礼拝堂は見学できます。
カップ・マルタンの休暇小屋(キャバノン) このキャバノンは、1951年、ル・コルビュジエがバカンスを過ごすためにニースとモナコの間ロックブリューヌ・カップ・マルタンRoquebrune-Cap-Martinに建てた、一辺3.66mの四角い小さな木造のコテージです。
鉄筋コンクリートの大規模住宅をこよなく愛す建築家の最もパラドックス的な作品であり、ル・コルビュジエの別の一面が感じられる作品として知られています。週2日午前中のみ開館しています。詳細は現地の観光局にお問い合わせ下さい。
ラ・トゥーレット修道院 このドミニコ会修道院はリヨンの北25km、エヴーEveuxにあり、修道院としては珍しい、近代建築の修道院として有名です。入り口には、黙想の受付と共に修道院の建築に関する展示も行われています。現在、改装中ですが、見学は可能です。
フィルミニの町 Firminy フィルミニ Firminyは工業都市サン・テチエンヌSaint-Etienne近郊にあり、工場従事者の多く住む町です。ル・コルビュジエは、この町のためにユニテ・ダビタシオン、スタジアム、サン・ピエール教会、文化と青年の家を設計しましたが、その多くは彼の死後、1965年以降に完成しました(サン・ピエール教会は昨年、竣工)。
フィルミニのユニテ・ダビタシオンは、総戸数414戸。彼が手がけた最も大きなユニテ・ダビタシオンで、現在、低家賃住宅公団が管理しています。丘の見えるフィルミニ・ヴェール地区、緑の中に力強くそびえ立つ幅130m、高さ55mの巨大な集合住宅は、ル・コルビュジエの唱える近代建築の5原則、建物を柱で支え地上を開放する「ピロティ」、構造的な壁をなくして実現した「水平横長の窓」、「自由な平面」、「自由なファサード」、そして誰もがアクセスできる「屋上庭園」を見事に体現しています。
建物の中には商店の並ぶ“通り”があり、17階建てのユニテ・ダビタシオンが7つの通りで通じています。各階には、高さ2.26m長さ1.78mを基準とする、ル・コルビュジエが考案した尺度システム「モデュロールModulor」による様々なタイプの部屋があります。
ル・コルビュジエの作品は市が管理し、スタジアム、サン・ピエール教会、文化と青年の家は一年を通して自由に見学できます。5人以上のグループか15人の団体向けには、ユニテ・ダビタシオン見学を含む3時間のガイドツアーもあります。
マルセイユのユニテ・ダビタシオン マルセイユの中心街プラド地区のすぐ南、ミシュレ大通りにあるユニテ・ダビタシオンは、「輝く都市」とも呼ばれ、ル・コルビュジエ建築の傑作と言われています。周囲を緑に囲まれたこのユニテ・ダビタシオンは、第二次世界大戦罹災者のため1945年から1952年にかけて国の依頼で建てられましたが、冗談好きのマルセイユの人たちは、当時、この集合住宅を「ファダの家(頭のおかしな人が作った家)」と呼んでいました。その後すぐに住民が共同所有することとなり、住民で作る管理組合は、今もル・コルビュジエの考えた共同生活のあり方を広めるため、積極的に活動しています。
総戸数337戸。「モデュロールModulor」尺度を基本に作られた全ての家には、テラスと大きなガラス窓があり、メゾネットタイプが基本です。防音設備もしっかりし、アメリカ式キッチン、ディスポーザー、電気コンロ、換気フード、料理を出し入れするカウンター、ダストシュートなどが、集合住宅として初めて採用されました。 共同スペースも充実していて、屋上にはプールと保育所があり、建物の中には廊下ではなく、様々な商店が並ぶ“通り”が通っています。
見学は自由。1階のガードマンが見学できる場所を教えてくれます。観光局主催のガイドツアーもあり、「輝く都市」の中のホテルに泊まることもできます。
ブリエ・アン・フォレのユニテ・ダビタシオン ブリエ・アン・フォレ Briey-en-Foretのユニテ・ダビタシオン は、1960年、ロレーヌ県 Lorraine メスから30Km、人口6000人の小さな村の村外れ、森の近くに建てられました。総戸数260戸。ル・コルビュジエを愛するヨーロッパの芸術家や個人、地域の共同所有で、自由に見学できます。
ガイドツアーはひとり2ユーロ。週末も含めて毎日実施されています。団体の場合は予約が必要です。
ナント・レゼのユニテ・ダビタシオン レゼ Reze のユニテ・ダビタシオンは、ル・コルビュジエが手がけたフランスで4番目のユニテ・ダビタシオンです。1955年に建てられ、約300戸。ここも住民たちと地域の共同所有で、今もル・コルビュジエの精神を受け継いだ生活を送っています。
見学は市が主催するガイドツアーのみで、火・木・土曜の朝。予約が必要です。 問い合わせ先:Tel:02 40 84 43 84
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